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カーボンクリンチャーのブレーキの発熱について

はじめに

某G社の積極的なプロモーションや某ITさんのブログの影響か、最近カーボンクリンチャーを使ってる方が増えてきました。
一時期のように、すぐに破損するというようなこともなく、そこそこ剛性があって、そこそこ軽量なものが増えてきました。

ですが、カーボンリム共通の原因として「ブレーキの熱による影響」があります。

リム本体は昔に比べて熱で破損することが減ってきました。

が、ラテックスチューブをカーボンクリンチャーで使って大丈夫なのかどうかは、イマイチ不明です。

メーカーによりけり「推奨から禁止まで」よりどりみどりです。

そこで、熱的に一番きついであろう、ヒルクライムレースの下山を想定したテストを行ってみました。

実験方法

コース
新潟ヒルクライム2014のコース(ゴールから電話ボックス前までを使用)
距離:5.55km
標高差:426m
平均勾配:7.7%(スタート地点から電話ボックス前までがほぼ平坦、それ以外は斜度の変化はありますが、ずっと下りです)

機材
使用ブレーキキャリパー:SHIMANO DURAACE 7900
使用ホイール/ブレーキシュー
カーボンクリンチャー:GOKISO30mm/EQUINOX 900(GOKISO純正)
アルミクリンチャー:MAVIC CXP22/SHIMANO R55 C3
タイヤはどちらもミシュランPro4SC25mm
チューブはMAXXISフライウェイト(ブチル)
※シューはどちらも新品を使用し、セッティングは共通、ダイロ2本事前に通常走行で下山し慣らしを終えています(GOKSOのシューはそれだけでライフの1/5位減っているというのは秘密です)。

温度測定の方法

リムブレーキ面直下、リムビート部内面、タイヤビート部内面、トレッド面内面に一定温度以上で色が変化するシールを貼り付け、シールの変色の有無で温度の履歴を調べる(下山後)。

シールの変色温度(℃)

リムブレーキ面面直下:65 70 75 110 115 120 130 140 150
リムビート部内面:65 70 75 110 115 120 130 140 150
タイヤビート部内面:65 70 75 110 115 120 130 140 150
トレド面内面:65 70 75

※アルミリムはリムフラップがあるので、リムフップにもシールを貼り付けた。

表面温度は放射温度計にて計測(適当)。
温度測定は下山前、下山直後(可能な限り早く行う)。
測定箇所はタイヤトレッド表面、リムブレーキ面、路面温度とする。

実験条件

速度はヒルクライムレースの下山速度として想定される平均25km/hに設定。20〜30km/hの範囲でなるべく調整。
リアブレーキとのバランスによる誤差を含みたくなかったため、フロントブレーキのみ使用。
総装備重量(車体+人間)は約62kg

結果

アルミリム(参考気温19℃天候曇り)

下山前路面温度(スタート地点)
Img_4276

18.3℃

下山前タイヤ表面温度
Img_4277

18.1℃

下山前ブレーキ面温度
Img_4278

19.0℃

下山後路面温度(ゴール地点)
Img_4285

23.1℃

下山後タイヤ表面温度
Img_4284

26.6℃

下山後ブレーキ面温度

Img_4282
42.3℃

シール

ブレーキ面直下
Img_4287

各温度変色なし

リムビート部内面(直張り)
Img_4289

各温度変化なし

リムフラップ
Img_4290

各温度変化なし

タイヤ内面

Img_4291

ビート部、トレッド部各温度変色なし。

カーボンクリンチャーリム(参考気温20℃天候曇り)

下山前路面温度(スタート地点)
Img_4181

20.8℃

下山前タイヤ表面温度
Img_4182

21.1℃

下山前ブレーキ面温度
Img_4183

20.4℃

下山後路面温度(ゴール地点)
Img_4191

24.0℃

下山後タイヤ表面温度
Img_4190

32.4℃

下山後ブレーキ面温度

Img_4187
57.5℃

シール

ブレーキ面直下
Img_4189

各温度変色なし

リムビート部内面(直張り)
Img_4201

65 70 75に変色が認められた

タイヤ内面

Img_4199

ビート部、トレッド部各温度変色なし。

考察

カーボンクリンチャーのビート部内面だけ温度変化の履歴が残りました。

考察の前に、なぜ、この温度のシールを選んだかですが、ラテックスはおおよそ70℃くらいを境に劣化が急速に進行するようになります。なので、この温度域を超えることは望ましくありません。

この温度を超えたからといって、すぐにバーストするわけではありませんが、劣化が急速に進行しますので、繰り返し行なった場合、バーストに至る可能性があります。

また、ラテックスチューブは110℃付近で耐熱の限界を迎えます。この温度を超えるとバーストの危険があります。

ブチルチューブはラテックスチューブよりも耐熱性が高く、劣化が急に進行するようになる温度が110℃前後、耐熱の限界が150℃前後です。

この温度履歴を残せるようにするため、シールを選択しました。

よって、カーボンクリンチャーリムは、ラテックスチューブの使用温度域よりも高い温度になってしまうことになります。

カーボンでもアルミリムでも同じ坂を同じ平均速度で下るのであれば、発熱量は概ね同じになります。

カーボンリムの熱が問題となる理由は、熱伝導率の低さからくる”熱がこもってしまう”からです。

ですが、熱伝導が低いのであれば、リム内面には温度変化が及ばないのでは?と思いましたが、実際にはリム内面に温度が伝わってしまい、安全とは言えない温度に達しています。

下山後リムを触ると、確かにカーボンクリンチャーはリムのブレーキ面だけ熱くなっている印象があります。

アルミリムはリム全体がほんのりあったまっています。

放熱性の差が、やはり内部の温度差につながったようです。

今回はヒルクライムレースの下山を想定したテストですが、通常の下山ではどうかということも気になります。

事前にテストを行い、通常の下山(速度は制限しませんが、交通ルールに従って安全に下山できる範囲)では、アルミリム、カーボンクリンチャーリム共に何本下山しても熱が65度を超えないことを確認してあります。

よって、極端なブレーキの使用状態にならないのであれば、どちらもラテックスチューブの使用は問題ないのではと思いますが、確信は持てません。

結論

カーボンクリンチャーリムにラテックスチューブを装着した状態でヒルクライムレースの下山を行うことは、やめたほうがいいです。

安全に下山するためには、カーボンクリンチャーリム、アルミリム共に、下山時はブチルチューブに交換することを推奨します。

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